serica1127’s blog

水煙草のフレーバーミックスに関するブログです

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タンジェロ+オレンジ+ミント+クリーム

 

 初めてシーシャを吸うお客さんにどのフレーバーを提供すべきか。

これはシーシャ屋さんをされたことのある方であれば誰しも一度は悩んだテーマかもしれません。僕の中での一つの答えとしてはその人が一番好きな果物を聞いて、その果物のフレーバーを提供することですね。

しかしこの考え方にも落とし穴があるかなと最近考え始めました。というのも果物の香りを再現したフレーバーの中でもその果物の味そのままの香りにならないフレーバーがあるからです。

 

代表的なものを挙げるならまず間違いなくダブルアップルでしょうか。

リンゴが好きだからダブルアップルを吸ってみても、イマイチぴんと来ない可能性があります。

それもそのはず、ダブルアップルの香料に純粋なリンゴ果汁が使われていることは稀でほとんどのダブルアップルはリコリスやアニスの薬草めいた香りづけがされているのですから…。


 そんな難しい悩みですが、実は僕の中で必勝法というか、「このフレーバーを使えば初めての人でもまず間違いなくシーシャを楽しんでもらえるだろう」という“トッテオキ”があります。

それは「オレンジ系のフレーバーを使う」ことですね。理由としてまずオレンジ系のフレーバーはどれも香りの再現度が高く食べた時の味に一番近いと思われるからです。

またどのフレーバーとミックスしても基本他の香りを邪魔することなく仕事をしてくれるので、そういう意味でもシーシャ屋さんにとって大変便利なフレーバー類ですね。

今度紹介する、“ゼスティー”と呼ばれるアメリカのフレーバーミックスがあるのですが、この中にも柑橘系のフレーバーが含まれています。それくらいミックスに溶け込みやすいフレーバーなのですね。


 今回のミックスはそんなオレンジにフマリ社のタンジェロとクリームを使用し橙色をイメージして作ってみました。

タンジェロは日本では馴染みのない果物かもしれませんが海外ではジュース等に使用される果物です。オレンジよりも酸味が落ち着いており優しい甘みを伴うフレーバーですね。

日本のお客さんに味を説明する時はポンジュースと説明するシーシャ屋さんもいます。オレンジとクリームは別々で書いてはいますがオレンジクリームというあらかじめメーカーがミックスしてくれたフレーバーもあるのでそちらを使用した方がもっと手軽に今ミックスを作ることが出来るでしょう。

クリームを使用する理由としてはオレンジの酸味を抑え甘みを強調するためです。初めてシーシャを吸う人に一番感じて欲しいと僕個人が考えていることはシーシャの、紙巻き煙草とは異なる優しい甘い煙なので、変な酸味が出ないように酸味をコントロールしてみましょう。

タンジェロに代表されるフマリ社のフレーバーは葉っぱの質が柔らかく、初めてシーシャを吸う方にも親しみやすい味わいが多いので、家でシーシャを作られる方にも大いにお勧めできるメーカーです。慣れてきたらタンジェロを同メーカーのマンダリンゼストに変えてみてもいいかもしれませんね。タンジェロに比べてもう少し落ち着いた大人な柑橘系の味わいがします。

あかね

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チェリー+ストロベリー+ザクロ+ローズ

 

 普段お店に来られるお客さんや同業のシーシャ屋さんと話していて気づいたことがあるのですが、皆さんシーシャの初体験を結構はっきりと覚えているんですよね。どこどこで吸ったとか、どんな味だったのか、その時の気分はどんなものだったのか…等々。それくらいシーシャを喫煙する体験は新感覚なのかもしれませんね。


 もちろん僕も例にもれずシーシャの初体験はよく覚えています。初めて吸ったフレーバーはピスタチオとコーラでした。今思うとかなり変わったチョイスでしたね(笑)。煙草なのにフレーバーによって味がまるで異なるのが大変面白く、そこから水煙草の世界に魅了されていきました。


 このミックスのタイトルに据えた“あかね”はそんな僕が初めて働いたシーシャ屋さんです。シーシャ屋さんは個性的なお店が多いのですが、そんな中でもあかねは大変変わったお店だったように思います。

大学生のサークルのような緩い雰囲気の中で売り上げを特に気にせず楽しくお客さんにシーシャをお作りすることが出来ました。

今振り返ると大変恵まれた環境だったのかもしれませんね。お客様も大学生の方が多く、色んな大学生活の話を聞いたり、海外からの留学生から彼らの国の話を楽しく聞かせていただきました。


 今回のミックスはそんな思い出深いお店をイメージした綺麗な茜色の香りです。茜色は夕暮れの色に代表される通り、少し暗みのある沈んだ赤色です。

朱色や緋色よりもダークな表情ですので、シーシャフレーバーの中から比較的濃い赤色を選びました。

全体的に見ると選んだどのフレーバーも味がはっきりと感じられるものが多いので、吸いながらどの味も平等に楽しめると思います。

この中で一番香りに暗さがあるのはローズでしょう。アルファーヘルのローズを想定したのですが、このローズは香りが大変強く花弁を食べているような錯覚さえ覚えます。

香水のような華やかな薔薇を感じたい場合はアルライヤンやラヤリナのローズに置き換えてみて下さい。これらのブランドはアルファーヘルに比べてかなり香りが軽く出ます。その分しっかり薔薇を感じたい場合は気持ち多めに加えた方が良いかもしれませんね。

 

 反対にアルファーヘルのローズを使用する場合は他のフレーバーの香りを邪魔しないように控えめに加えてみましょう。チェリーに関してはアルファーヘルやナハラの使用を想定したのですが、もしこれらのフレーバーを一度も吸ったことがない場合は使用する前に嗅いでみて下さい。おそらく思っている以上に甘みの控えめなチェリーが感じられると思います。

チェリーの配分が多すぎる場合、アルファーヘルやナハラだとチェリーの酸味が強く出る可能性があるので、自信がない時はストロベリーやザクロの量を多めにし、イメージする赤色をキープするように挑戦してみて下さい。

色の煙

フレーバーをミックスする時、皆さんは“色”を意識することはありますか?

 

料理の世界では色というと盛り付け時の彩りが連想できますね。この記事を書くにあたって少し料理の世界を調べてみたのですが、和食には「青黄赤白黒(しゃくおうしゃくびゃっこく)」と呼ばれる五色があってそれが含まれているように盛り付けると料理全体が美しく見えるらしいです。

 

残念ながらシーシャフレーバーをいくらきちんとボウルに盛り付けても、煙を吸う時にはアルミホイルで覆われたり、ヒートマネジメントシステムでふさがれるので、シーシャ自体に対して彩りは期待できないのかもしれません。

しかし、フレーバーミックスの世界であれば自由に想像を働かせることが出来ます。僕自身、シーシャを吸っていて「今明るい色に変わったな」とか「このシーシャは青色だな」と感じることが割とあります。

 

こう書くと色と味を結び付けられる共感覚めいたものを持っているのか、と思われそうですがそこまで複雑な感覚は持っていません。

ただ単にシーシャフレーバーのパッケージや果物の色から煙を連想しているだけですね(笑)。

このブログの読み方、使い方

本ブログはどちらかと言うとお店で良くシーシャを嗜む人、家でシーシャを作っている人に向けたフレーバーミックス集として書いています。

 

僕の経験から美味しいと思えるフレーバーミックスを紹介しており、カクテルブックのように自分でシーシャを作る時のヒントにしてみたり、お店でシーシャフレーバーを頼む参考にして貰えたら幸いです。

けれども単なるミックス紹介ではなく、シーシャに関するエッセイにもなるように執筆いたしました。そのため、シーシャのことを全く知らない方はめげることなくエッセイとして本ブログを楽しんでいただければなと思います。

 

もし本ブログを読んでシーシャに興味を持っていただけたのであれば、是非拙著の「シーシャ道」を読んでみてください。

はじめに

カクテルブックをイメージしながらこのブログを作りました。

 

カクテルブックとは名前から分かる通り東西古今の様々なカクテルが紹介されている本です。昔からこうした本を読むのが好きで、今の仕事、シーシャ屋さんで働くようになってからは一層読むようになりました。

本の中ではお酒の作り方が単に書かれている訳ではなく、どこに気を付けて作ればいいのかもきちんと書かれています。また、有名なバーテンダーさんが書かれたカクテルブックはその人ならではのテクニックや、そのお酒に対する思い出が書かれることもありますね。このブログを執筆するにあたって、シーシャの世界でそうした“カクテルブック”なるものがあればいいなぁと思いました。


 シーシャはカクテルに比べると歴史が浅く、フレーバーが初めて作られるようになったのは四半世紀ちょっと前のことでした。そのため、カクテルのようにみんなが知っている作り方やレシピは存在しません。それぞれのシーシャ屋さんが独自にフレーバーをミックスしたりしています。ですので、このブログもあくまで“私のシーシャブック”となっています。

 

フレーバーミックスを自分勝手に名付けてブログに書いていくのは不安を感じる反面、自由に楽しく書かせていただいたと思っております。どうしてもブログという媒体ですと相互の交流が出来ず、僕が一方的に話しているだけになってしまうので、もし面白いフレーバーミックスや本に関する意見や感想がございましたら下記のメールアドレス、またはブログのコメント欄までご連絡ください。

 

feelthewind.bioctalyst@gmail.com